MOQ以上の数量でしか買えないの? 電気製品輸入初心者のためのMOQ講座
Alibabaや中国で良い商材を見つけた時、最初に気になるのが価格とMOQ (Minimum Order Quantityu:最小注文数量) だと思います。
特にMOQは、初めての取引先であったり初期投資を抑えたい場合等はできるだけ少ない量にしてもらいたいもの。
サプライヤーが提示したMOQ以上の数量を購入しないと取引してもらえないのでしょうか。
サプライヤーの視点でMOQを紐解きつつ、MOQを小さくする交渉ポイントについて解説します。
MOQとはなにか
MOQとはMinimum Order Quantityの略で最小注文数量という意味です。
サプライヤーが提示する数字で「最低でもこの数量の注文をくれないと取引は成立しませんよ」というもの。
MOQは製品やサプライヤーの工場規模 (製造能力) によって異なりますが、電気製品ですと少ない場合で500個前後、一般的には数千個単位の製品が多いと思います。
MOQが決まる仕組み
サプライヤーはどのようにMOQを決めているのでしょうか。
MOQは多くの場合「製造ごとのライン製造量」によって決められます。
具体的には、以下のような要素を考慮しながら利益を最大限にできる「1回の量産で製造する個数 = ライン製造量」が決められます。
- 材料のMOQ (サプライヤーが購入する材料にも当然MOQが存在します)
- 加工の一部を外注している場合、外注先が設定するMOQ
- 外箱の印刷業者のMOQ
- 工員の配置
例えば製造に必要な材料が製品1,000個分の単位でしか買えない場合、当然サプライヤーは材料を在庫したくないのでMOQは1,000個に設定されます。
MOQを決めている支配的な要素を聞き出せ
そう聞くと弱小バイヤーがMOQを変えさせる事はほとんど不可能なように思えますが、実はそうでもありません。
サプライヤーが利益を確保できるようにしてあげればMOQを小さくしてもらえる可能性もあるのです。
たとえば、MOQ=1,000個の製品があり以下の理由で1,000という数字が決まっているとサプライヤーが教えてくれたとします。
すなわち、bとcがMOQを決めている支配的要素というわけです。
- 材料のMOQ:500個
- 外注加工分のMOQ:1,000個
- 外箱印刷のMOQ:1,000個
製造コストベースで考えた時、通常aの材料費に一番コストがかかっています。
bとcが製造コストで占める割合は、aの材料費と比べるとかなり小さな割合の事が多いでしょう。
ここに交渉の余地があります。
「b, cについては1,000個分の費用を負担するので、MOQを500個にしてくれないか。」
と、提案するのです。
支配的要素であるbとcについてはバイヤーがリスクを取ることにより、サプライヤーは材料費さえペイできれば利益を確保できるので交渉に応じる可能性はぐっと高くなります。
当然MOQが1,000個のときより単価は高くなりますが、材料費が製造コストの多くの割合を占めている製品であれば1,000個購入するよりはずっと安くなるでしょう。
バイヤーはあなただけではない
MOQを少なくするもう一つの方法は「他の注文と併せる」です。
サプライヤーのお客さんはあなただけではありません。
その製品が良い製品であれば世界中の様々な国から引き合いが来ていることでしょう。
タイミング良く他国のバイヤーとの商談が進行中であれば、その商談分と併せて製造してもらえる可能性があります。
まとめ
仕入れたい製品のMOQ構成要素や他社との商談状況をサプライヤーから聞き出せれば、MOQを小さくする交渉も可能な場合があることをわかって頂けたかと思います。
しかし、サプライヤーからそういった情報を取れなくてはどうにもなりません。
量産オーダー時のたのめに、サンプル購入時から意識して良い関係を構築するように努力することが大切です。