サプライヤーの言う事を鵜呑みにするな! PSE適合証明書を入手する前に確認すべき4つのポイント
特定電気用品を輸入販売する場合、登録検査機関が発行した適合証明書 (※1)をサプライヤーから入手 (※2)する必要があります。
※1 正確には「適合証明書の副本」
※2 登録検査機関は通常サプライヤーにしか適合証明書発行しません
サプライヤーによっては「お安いご用!」と出してくるところもありますが、鵜呑みに受け取ってはいけません。
その適合証明書、
電気製品安全法的には意味のない適合証明書の可能性
があります。
サプライヤーから適合証明書を入手する際は、そのコピーや写真をもらい以下の事項を事前に確認するようにしましょう。
その1 発行機関を確認すべし
特定電気用品の適合性検査を実施し適合証明書を発行できるのは
経済産業省が認定した登録検査機関だけ
です。
登録検査機関以外の検査機関が発行した適合証明書を入手しても、適合性検査義務を果たした証拠にはなりません。
海外で認定されている登録検査機関は多くはない事とその費用も手間も小さく無いことから、サプライヤーによっては工場近くの良くわからない試験場で検査を行い、その結果を適合証明書として送ってくる場合がありますので、十分注意が必要です。
適合証明書を入手する際は、その発行機関が経済産業省が認定した登録検査機関であることを必ず確認するようにしてください。
その2 型式の区分を確認すべし
電気用品安全法では電気用品の細かい仕様を区分する「型式の区分」という物が決められており、型式の区分が異なる電気用品は電気用品名が同じでもそれぞれ別々に適合性検査を行う必要があります。
サプライヤーによっては、特定の型式の区分の一製品に対してのみ適合性検査を行いその適合証明書を他の型式の区分の製品でも有効だと言って送ってくる場合もありますので、
これから輸入する製品の型式の区分と
適合証明書の型式の区分が一致していること
をしっかり確認する必要があります。
型式の区分についてちょっと解説
型式の区分を電気用品ごとににあまりにも詳細に決められているため詳しい説明はできませんが、おそらく最も輸入されているであろう特定電気用品「ACアダプター」を例に型式の区分について説明します。
電気用品安全法上でのACアダプターは以下のように定義されています。
電気用品の区分 | 交流用電気機械器具 |
---|---|
電気用品名 | 直流電源装置 |
表示が必要なPSEマーク |
そして電気用品「直流電源装置」に対して、その仕様毎に様々な区分が決められているのです。
たとえばACアダプターの入力電圧 (コンセントの電圧)、日本では100Vですが海外では220Vや240Vという地域もあります。
入力電圧に対しては次のような型式の区分が決められています。
定格入力電圧 | (1) 125V以下のもの |
(2) 125Vを超えるのもの |
その他ではACアダプターの直流側出力の電圧についても、次のように細かく区分がきめられています。
直流定格電圧 | (1) 15V以下のもの |
(2) 15Vを越え30V以下のもの | |
(3) 30Vを越え60V以下のもの | |
(4) 60Vを超えるのもの |
このように、電気製品の仕様によって型式の区分は異なるため、これから輸入する製品の型式の区分と、サプライヤーより提示された適合証明書の型式の区分が一致している事を確認する必要があるのです。
参考:「直流電源装置」に対して決められている型式の区分一覧
直流電源装置 | 定格入力電圧 | (1) 125V以下のもの (2) 125Vを超えるもの |
入力側の定格容量 | (1) 10VA以下のもの (2) 10VAを超え20VA以下のもの (3) 20VAを超え30VA以下のもの (4) 30VAを超え40VA以下のもの (5) 40VAを超え50VA以下のもの (6) 50VAを超え60VA以下のもの (7) 60VAを超え70VA以下のもの (8) 70VAを超え80VA以下のもの (9) 80VAを超え90VA以下のもの (10) 90VAを超え100VA以下のもの (11) 100VAを超え200VA以下のもの (12) 200VAを超え300VA以下のもの (13) 300VAを超え400VA以下のもの (14) 400VAを超えるもの |
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定格周波数(変圧器を有するものの場合に限る。) | (1) 50Hzのもの (2) 60Hzのもの |
|
交流用端子 | (1) あるもの (2) ないもの |
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直流定格電圧 | (1) 15V以下のもの (2) 15Vを超え30V以下のもの (3) 30Vを超え60V以下のもの (4) 60Vを超えるもの |
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変圧器 | (1) あるもの (2) ないもの |
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変圧器の巻線の絶縁の種類 | (1) A種のもの (2) E種のもの (3) B種のもの (4) F種のもの (5) H種のもの (6) その他のもの |
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直流電圧の調整装置 | (1) あるもの (2) ないもの |
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回路の保護機構 | (1) あるもの (2) ないもの |
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器体スイッチ | (1) あるもの (2) ないもの |
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器体スイッチの操作の方式 | (1) タンブラー式のもの (2) 押しボタン式のもの (3) ロータリー式のもの (4) その他のもの |
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器体スイッチの接点の材料 | (1) 銀のもの又は銀合金のもの (2) 銅のもの又は銅合金のもの (3) その他のもの |
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外郭の材料 | (1) 金属のもの (2) 合成樹脂のもの (3) その他のもの |
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用途 | (1) 電池充電用のもの (2) おもちや用のもの (3) 自動車スタータ用のもの (4) その他のもの |
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電源電線と器体との接続の方式 | (1) 直付けのもの (2) 接続器利用のもの |
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二重絶縁 | (1) 施してあるもの (2) 施してないもの |
その3 試験報告書 (テストレポート) を確認すべし
登録検査機関が適合性検査を行っていれば試験報告書 (テストレポート) も必ず存在します。
PSE適合証明書を入手する前に、試験報告書のコピーを送ってもらいその内容を確認するようにしてください。
適合証明書には製品名やモデル名が記載されていない
というのがその理由です。
入手したPSE適合証明書が登録検査機関が発行したホンモノであったとしても、その適合証明書がこれから輸入販売を開始する製品に対してのものであるかどうかが適合証明書からはわからないのです。
試験報告書には製品名やモデル名と共に外観写真なども記載されています。
記載されている細かい内容がわからないのは仕方ありませんが、試験報告書の内容が
これから輸入販売する製品に対してのものである
事を必ず確認するようにしてください。
その4 有効期限を確認すべし
特定電気用品の適合証明書には有効期限が期限が必ず記載されています。
有効期限が切れていたり有効期限までの残り期間が少ない場合はサプライヤーにその旨を指摘し、新しい適合証明書を発行してもらうようにしましょう。